今回はこの2社のデータを元に徹底比較していこう!
どちらも米国通信大手の"AT&T"と"ベライゾン"どちらに投資すべきか悩んでいる方は是非ご参考にされてみてください。(^^)/
結論から言うとどちらも保有すればどちらが成長しても恩恵を受けれるしリスク分散にもなります。(笑)
それでもどちらが優れているか、どちらかに集中投資したい方は以下をご参考にしてみてください。(^^)/
目次
【AT&T・ベライゾン】基本情報
※2021年1月執筆時点
社名(ティッカー) | AT&T(T) | ベライゾン(VZ) |
---|---|---|
株価 | 29.17USD | 57.38USD |
上場市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
セクター | 通信サービス | 通信サービス |
配当利回り | 7.1% | 4.3% |
配当性向 | 63% | 56% |
連続増配 | 36年(配当貴族) | 14年 |
配当権利落月 | 1・4・7・10月 | 1・4・7・10月 |
PER | 19.3倍 | 13.0倍 |
どちらも高配当、特にAT&Tはかなり高配当ですね。
AT&Tは株価は低迷しているものの、PERを見るとAT&Tの方が割高に取引されているようです。
AT&Tは36年連続増配の配当貴族、ベライゾンも連続14年増配となかなかです。
通信セクターという安定性のある事業、さらには今後通信業界は"5G"に移行する過渡期にあることから、いずれかは持っておきたい銘柄ですね。
5G市場は両社で3分の2を占めており寡占状態にあります。
その為5Gの恩恵を受ける事は間違いないでしょう。
【AT&T・ベライゾン】株価は明暗を分ける展開
青がAT&T 赤がベライゾン
直近10年はベライゾンは綺麗な右肩上がりですが、AT&Tは波があり横ばいといった感じです。
チャートを見る感じでは、AT&Tはここで踏ん張れるかどうかでこの先が変わりそうな気がしますね。
変に低迷すると株価上昇の妨げになりそうですし、さらなる下落もありえそうです。。
底値から引けるサポートライン付近ではあるので反発期待です。
株価はいまひとつですが、ド天井で掴んでいない限りAT&Tは配当が多くもらえるので、長期保有で配当を貰っているとしたらそれなりのリターンにはなっていそうです。
ただやはりベライゾンのチャート株価推移の方が安心感はありますね。
事業方針も両社別路線で展開
同じ通信セクターですが、両者の事業方針には少し違いがあります。
AT&Tはコンテンツビジネスにも事業拡大。
コンテンツビジネスで市場シェアを獲得するのを狙い、2015年に衛星TVサービスのディレクTVと2018年にはタイム・ワーナーを買収しました。
しかしインターネットを通じたビデオストリーミング、定額動画配信サービス(ネットフリックスなど)の拡大に押され、それに比べ割高なケーブルTV事業は減退気味です。
有料TV契約者数も徐々に減っています。
その対応としてAT&Tは独自のビデオストリーミングサービス"HBOマックス"を開始しました。
こちらもネットフリックスやディズニーとの熾烈な競争があります。
しかし5Gサービスはまだ完全ではありませんが、今後サービスが充実すればユーザーは増加すると見込んでいます。
これらディレクTV・タイム・ワーナーの巨額な買収により、AT&Tの長期債務も1800憶ドル以上となり世界一負債を抱える会社に。
莫大な負債も投資家から懸念されての株価の下落だと思われます。
しかし経営陣は債務を順次削減すると同時に37億ドルの四半期配当支払いも継続すると強調しました。
競争が激化しつつあるビデオストリーミング市場で、HBOマックスが順調に立ち上がるかどうかのリスクもあります。
巨額債務の削減、配当の維持は経営陣の手腕にかかっているでしょう。
逆に言うとそれが解消されると大きな値上がりが期待できるかもしれません。
ベライゾンは5Gサービスの充実に注力
AT&Tがメディアへの事業展開を推し進める一方で、ベライゾンは5Gへ焦点を絞った投資をしています。
当初はAT&Tと同様の戦略をとり2015年にAOL(アメリカオンライン)、2016年には米国Yahoo!を買収。
ビデオストリーミングに関してはディズニーと提携し、インターネットアクセスプランに"Disney+"を無料で付属させています。
追加投資資金は不要でしたが、ベライゾン側がコンテンツの管理はできないのはデメリットです。
しかし、資金がかからなかった分リスクはAT&Tに比べ低いです。
買収先企業 | 買収額 | |
AT&T | ディレクTV | 671億USD |
タイムワーナー | 850億USD | |
ベライゾン | AOL | 44億USD |
米Yahoo! | 45億USD |
メディアの買収においてもAT&Tの方がかなり多くのコストがかかっていますね。
これ以降ベライゾンはメディア関連への投資を行わず、5Gへの投資に重点を置いています。
投資家はベライゾンの事業方針を支持しているようで、株価に表れています。
過去10年で、ベライゾンの株価は約110%上昇。
AT&Tは約27%上昇。
といってもベライゾンの長期債務も1000憶ドル以上とかなり巨額です。
借金莫大なAT&T、比べてまだ少ないベライゾン。
ベライゾンもメディアは買収してないわけではないし、ベライゾンの方がリスクが低そうとなったら投資家から好感されるのは分かる気がするわね。
今後もそれが続くかどうかは分からんがな。
事業内容を見たところで、次は数字に基づいて見ていこう。
両社業績比較
〇AT&T 売上・利益
AT&Tの売上高は安定して増加傾向ですね。
営業利益もやや波はありそうですが、増加傾向です。
当期利益(純利益)の方は波が荒いですがキャッシュは多く生み出してしています。
●営業利益 ☞ 売上にかかる費用を引いた利益。
売上から売ったものの原価+販管費(家賃・水道光熱費・人件費)を引いたもの
●当期利益 ☞ 損失などを加味し税金なども全て支払った後に残る最終利益
ここから配当・設備投資・内部留保など行っていく
売上高、営業利益は増加しているので、おおむね事業は上手くいっていると見れます。
所見としては株価が大きく下落している程は悪くはないのかな?と思いました。
〇ベライゾン 売上・利益
ベライゾンも売上高、利益全て綺麗に増加傾向。
かなり良い感じで増加率から見れる成長具合は明らかにAT&Tより優れています。
『こんな企業に投資したい!!』
といったまさに順調に成長している良い業績ですね。
続きます。
〇AT&T 利益率
利益率は通信事業は他業種に比べて高い傾向です。(他業種利益率は少し後述します。)
悪くはないです。
普通に儲かってはいるのかな?と思いました。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標。自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見れる。逆に自己資本利益率が低い会社は「経営効率の悪い会社」である判断され、投資家からのお金も集まりにくくなる。
一般的には10%以上だと優良企業と判断。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に目安5%以上だと優良企業と判断。
多少波はありますが、危なげなくはないかなと思います。
〇ベライゾン 利益率
変わりましてベライゾン。
良い…
良すぎる…
段々良くなって営業利益率20%越え…
どんだけ効率良く経営してんの…
ビジネスの性質が違うので比較対象にはならないですが、例えば小売業だと営業利益率平均で2.1%ですからね。(;゚Д゚)
その他の業種でも大体は一桁%台が多いので通信事業が儲かるビジネスだというのはよく分かりますね。
ROA、ROEも直近5年はかなり良い数字です。
資本も効率的に使えているということですね。
特段AT&Tが悪い気もしないのですが、ベライゾンと比較するとどちらが良いかと言われたら完全にベライゾンです。(;´Д`)
圧勝… 優等生…
頑張っても天才には勝てない、報われない秀才のようです…
AT&Tにもみんな優しくしてあげて…
かわいそうだけでは儲からないものね…!!
この2社は高配当なので配当目的で投資する人が多いと思うが、配当を支払う為のキャッシュをしっかり生み出しているか見ていこう。
〇AT&T キャッシュフロー
営業キャッシュフロー(事業活動で得たお金)、フリーキャッシュフロー(事業継続の為に必要なお金を引いて最終的に残る自由に使えるお金)共に増加傾向です。
2015年、2018年に買収により投資キャッシュフローは大きくマイナス。
事業全体としてはしっかりキャッシュを確保しています。
●投資キャッシュフロー ☞ 事業の為の投資活動の資金の流れ。
マイナスだと設備投資、買収などとして資金を使ったということ。(将来の為の投資なのでマイナスが悪いわけではない。)
固定資産(建物や工場、車両、備品、土地、機械装置)や事業売却なので資金が増えるとプラスになる。
●財務キャッシュフロー ☞ プラスだと金融機関などから借り入れ(借金)をして資金が増えたということ。
マイナスだと借り入れを返済をして資金が減ったということ。
巨額の借り入れをしていますがその後財務キャッシュフローもマイナス(借金の返済)が増えているので、このまま負債を順調に減らしていければといった感じです。
しかし5Gへの投資も多く必要ではあるので、また借り入れが増加しそうであれば注意が必要です。
全体としては苦戦しながらも積極的に投資もして事業拡大はしつつ、キャッシュは十分安定的にしっかり確保している印象を受けました。
〇ベライゾン キャッシュフロー
AT&Tは営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー増加傾向でしたが、ベライゾンは波があり横ばいといった感じです。
ただ売上高、利益は増加していたので増収増益していないわけではありません。
【※キャッシュフローは現金のやり取りを示すので、売掛金(ツケ払い、カード払いなど現金のやり取りがない取引)は含まれていません。】
先述のように利益率は年々良くなっていたので事業経営が上手いのだろうなという印象です。
フリーキャッシュフローも少ないわけではないですが、キャッシュの創出の点においてはAT&Tの方が安定していそうだなと思いました。
配当実績比較
年 | 年間配当
T(AT&T) VZ(ベライゾン) |
増配率
T(AT&T) VZ(ベライゾン) |
---|---|---|
2011年 | T $1.73
VZ $0.4875 |
T 2.4%
VZ 2.61% |
2012年 | T $1.77
VZ $0.5 |
T 2.3%
VZ 2.68% |
2013年 | T $1.81
VZ $0.515 |
T 2.3%
VZ 2.98% |
2014年 | T $1.85
VZ $0.53 |
T 2.2%
VZ 3.13% |
2015年 | T $1.89
VZ $0.55 |
T 2.2%
VZ 3.5% |
2016年 | T $1.93
VZ $0.565 |
T 2.1%
VZ 2.6% |
2017年 | T $1.97
VZ $0.5775 |
T 2.1%
VZ 2.2% |
2018年 | T $2.01
VZ $0.59 |
T 2.2%
VZ 2.15% |
2019年 | T $2.05
VZ $0.6023 |
T 2.0%
VZ 2.11% |
2020年 | T $2.08
VZ $0.615 |
T 2.0%
VZ 2.06% |
どちらも順調に増配しています。
AT&Tは現在配当利回り約7%、ベライゾンは4%超とAT&Tの方が配当利回りは高いです。
ただ高い配当利回りにはリスクを孕んでいるいる性質もあります。
株価が下落して配当利回りが上がっているので、投資家からは敬遠されているということですからね。
ベライゾンも4%以上と十分高配当で、同社の方が増配率が高くて健全に見えます。
ベライゾンは今のところ14年連続増配。
対してAT&Tは36年連続増配と配当貴族です。
たしかな実績から永久保有銘柄としている人もいますね。
ただ、2021年の四半期ごとの配当は0.52ドルと発表があり、2020年と同じ年間2.08ドルと据え置きになりそうです。
減配こそしないものの、AT&Tの連続増配記録は36年でストップしそうです。
配当性向はAT&Tが約63%、ベライゾンが約56%とどちらも高めですがまだ増配する余地はありそうです。
まあ無理して支払うのも経営状態を悪化させて良いとは言えないので、減配しなかったので良かったとしよう。
2020年度第4四半期決算はどちらも好決算
AT&T | ベライゾン | |
売上高予想 | 445.2憶USD | 344.9憶USD |
売上高実績 | 456.9憶USD | 347憶USD |
EPS予想 | 0.73 | 1.17 |
EPS実績 | 0.75 | 1.21 |
どちらもコンセンサス予想(市場平均の予想)を上回る結果でした。
AT&Tのサービス加入者数状況です。
出所 AT&T IR
左上の携帯電話事業で、AT&Tは第4四半期で80万件の新規契約者を獲得。
黄色の折れ線グラフは解約率ですが、減少傾向なので加入者数は増加傾向と相まっていい感じです。
コロナ渦でも新規契約者は昨年より大幅に増えています。
右側、AT&Tが力を入れているメディア事業、動画ストリーミングサービスのHBOマックスの加入者も順調に増えています。
右下の解約者数も減少傾向なので良いですね。
利用者の満足度が上がっていることが伺えます。
特にHBOマックスでは巨額の買収をしたワーナーメディアの作品を配信していて、今後も有名映画などを配信予定なのでこれからさらに利用者増加が見込めます。
ワーナー有名作品
- インターステラー
- マトリックス
- ラストサムライ
- マッドマックス
など他にも多数
ベライゾンのサービス利用者状況です。
出所 ベライゾン IR
事業全体の売上高はAT&Tの方が大きいですが、携帯電話事業ではベライゾンの方が約1.5倍程AT&Tより売上高は大きいです。
新規契約者数は2020年度第4四半期で16万3000人と伸び率はAT&Tの方がありました。
昨年比だとほぼ変わっていません。
解約率は増えていて0.76%となりましたが元々低い解約率だったので、解約率が上げってAT&Tと同じ水準になりました。
他には、AT&Tは多角的な展開をする中、足枷となっている事業売却を進め負債を予定より早く返済しています。
ベライゾンは設備投資で負債が増えていました。
この辺りをどう捉えるかは、意見が分かれそうですね。
総括して、どちらかに投資するなら利益率の伸び、負債の少ない方などの経営面や、配当の伸びや配当性向の低いベライゾンの方が健全でありリスクは低いと思います。
AT&Tも悪いわけではないですが、大切な資産を運用するわけですから、よりリスクを抑えた投資をした方が良いです。
ただ今後もベライゾンがAT&Tを上回るリターンを出してくれるかは全く分かりません。
AT&Tの高い配当利回りは魅力的ではありますし36年に渡って配当を増やし続けて支払っている実績があります。
業績も悪くはないですし、通信サービス事業の安定性もあるので配当支払いが不可能になるとも私は思いません。
明らかに割安に放置されている分、負債の削減、経営効率が改善したり5Gの恩恵を受けた時にベライゾンよりも株価回復で高いリターンをもたらしてくれる可能性はあると思います。
よって自身のリスク許容度によって、どちらも良い投資先ではあると思います。
最善の投資はどっちも半分ずつ持つことでリスクも分散できるのと同時に、どちらの恩恵も受ける事ができるので迷ったらどちらも保有するのがおススメです。(^^)/
米国株は1株で取引できるので、両方1株ずつ保有しても1万円以下なので。
まとめ
〇どちらも増収増益傾向
〇AT&Tはコンテンツビジネス充実へ、ベライゾンは5Gに絞って注力
〇現状投資家からはベライゾンが評価されている
〇AT&Tは巨額の負債に懸念アリ
〇ベライゾンの方が経営効率が良く利益率が高い
〇キャッシュフローの安定性はAT&Tが優れる
〇AT&Tは36年で増配記録が止まる見通し
〇投資としてリスクが低く健全とするならベライゾン
〇負債削減、経営効率改善や5G恩恵見込みでAT&Tにも投資妙味アリ!?
〇迷ったらどっちも投資すればOK
今回は米国株の高配当銘柄で同じ通信事業の、【AT&T】【ベライゾン】を比較してみました。
通信事業の安定性、参入障壁の高さからどちらも独自路線を歩みながら存続していくとは思います。
さらに両者で5G市場の3分の2を寡占していることから間違いなくこれから恩恵は受けると思います。
分析する限りではベライゾンの方が今のところ優れた実績とリターンになっています。
でも配当利回り7%はなかなかインパクトがありますよね。(笑)
しかも調べてみればそんなに業績悪くなく、割安だなと思えるのでAT&Tにも投資妙味は十分にありそうです。
携帯事業、力を入れている動画配信サービスの利用者数も増えていますしね。
先述しましたが、最善はどっちも投資するのがリスク軽減で良いと思います。
ちなみに私はAT&Tしか保有していません(小声)
AT&T・ベライゾン。どっちに投資するか迷っていた方のご参考になれば幸いです。
AT&T・ベライゾンに投資するにはSBI証券が最適
米国株への投資は為替手数料が安く済むSBI証券がおすすめです。
※正確には提携している住信SBIネット銀行で両替してSBI証券で買付けします。
\米国株投資には為替手数料最安なSBI証券がおすすめ!/※提携している住信SBIネット銀行で両替
是非まだの方はお得なので開設しましょう。
こちらでSBI証券の手数料について解説しています(^^)/
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米国株投資の【手数料最安】で最適な証券会社はこれだ!!!
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企業の決算書が分かるようになる初心者におススメの本もご紹介しておきます。(^^)/
命よりも重い大切なお金を運用するのであれば、なんとなくではなくしっかり企業分析をして投資したいですね。(;゚Д゚)